37番 岩本寺
峠越え(14日目) (2003/3/26)
宿(5:40)→岩本寺(37)→宿(15:00)(16:50) 32.0km
足の裏は歩いても痛くはないが貼薬のせいで違和感はある。でも痛くなければもう大丈夫。良かった。
今日は角谷トンネル、焼坂トンネルそして久礼トンネルとトンネルが幾つも続くので、それをを避けて回り道を
するので、朝飯抜きの早朝出発にした。
最初は角谷の国道のトンネルを避けて旧道を歩く。
旧道は舗装されているが車は殆ど通らずのんびりした道だった。下を見ると急な斜面に枇杷畑が下の国道まで
続いていて、その先には海も見えている。のどかな景色だがその枇杷畑の斜面の急さが尋常ではない。
私の住む静岡でも山の斜面に蜜柑やお茶を栽培しているが、その傾斜とは比較にならない程の急斜面だ。
しかも段々の巾が狭いので、立って下を見るだけででも怖い。これで枇杷の木に登り実を取るなんて、想像する
だけで身震いが出て後ずさりしてしまう。
こんなに怖く感じるなんて歩き過ぎで自分の感覚がおかしくなっているのかと思ったが、地元の人の話では
「角谷の人は平気だが、よその人は怖がる」 と言っていた。
国道に戻り少し歩くと次の焼坂トンネルの迂回路の入口になる。
植林された森の急な山道をフーフー言って登って行くと突然林道に出た。
はっきりしないがそこが峠だったらしく後は緩やかな下り坂になった。
林道には落ち葉が堆積して腐葉土状になったおり、それがクッションの役目を果たしてくれているので
なんとも足当たりがよく気持ちが良い。こんな道ならいくらでも歩けそうに感じる。
途中で地元の狩猟協会の人と一緒になった。
その人は中土佐町の山の中を異常がないか時々見回っているそうだが、一つ気になる話をしてくれた。
10年程前まではこの峠道は無く、遍路道は国道のトンネルを通るしかなかった。
ある時トンネルを歩いている遍路を車が撥ねてしまう事故が発生した。
事故のあと町では遍路にアンケートを取ると全員が 「トンネルが怖い」 と答えたと言う。
そこで町はトンネルを迂回するこの焼坂峠の遍路道を復元したのだが、いざ復元してみると峠道を歩く遍路が少ない。
大部分の遍路は相変わらず 「怖い!怖い!」 と言いながらもトンネルを通っていると言う。
ウーン遍路として考えねばならない問題だ。
三つ目の迂回路は 「そえみみず遍路道」 と名の付いた、これも復元された道だ。
入口には記念碑などもあり、そこには毎年草刈もしていると書いてある。感謝!感謝!
この道は三つの中で一番長く標高も400mと高い。
疲れている足には登りの大変なのはどこも一緒で、楽なとこは無い。
しかし下りは道の状態でずいぶん違う。舗装の下りは足がガクガクするが、その点ここも焼坂峠と同じで緩やかな
下りなので足への衝撃は少ない。
道のおかげか貼り薬のおかげか分からないが、まめが痛くなくなり違和感も少なくなった。良かった。
今日の宿は37番岩本寺の宿坊。部屋は新しく広くて気持ちがいい。
私は3時に到着したのですぐ部屋に入れたが、早く着いた人は3時まで入れなかったらしい。
それは当り前で仕方ないと思うがグズグズ言う人もいた(修行が足りないな、と人の事は言える)。
ただ翌朝 「今朝の勤行はお休みです」 と言われたのには驚いた。
勤行って毎日行を勤めるから勤行と思っていたのだが、休むことがあるとは知らなかった。
相部屋の遍路の中に逆打ちをしている70代と思われる人がいた。
4回順打ちをして今回初めての逆打ちだそうだ。話を聞くとそれほど大変では無いと言う。
4回も歩くと道が頭に入っているので分かれ道でも大体見当がつくらしい。
それにしても70過ぎてこの元気には恐れ入った。