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Channel: はぐれ遍路のひとりごと
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四国遍路12日目

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                         32番 禅師峰寺

                  渡し(12日目) (2003/3/24)

 宿(6:00)→竹林寺(31)→禅師峰寺(32)→雪蹊寺(33)→種間寺(34)→清滝寺(35)→宿(16:50)         37.0km

朝食は8時からと言うので食べずに6時出発。腹は空いていたがフロントにコンビニの場所を確認しての出発だ。
今までは宿で朝食を食べてから出発したので7時過ぎになっていたが、それに比べ今朝は1時間も早い出発になった。
おかげで走っている車は少なくて気持ちがいい。これからはこの手を使おう等考え歩いているうちに町の中に入った。
コンビニはと辺りを見ながら行くが見当たらない。替わりに前方に5・6人のお遍路さんが歩いているのが見えたので
追いついて 「おはようございます。どこかにコンビニありました?」 と聞くが
 「私たちも探しているけど分からない」 と返ってきた。ジャーまだ先かと諦め先を急ぐ。

 次の31番竹林寺は丘の上にあるお札所でなの遍路道も丘に続く細い山道に入って行く。
この先にコンビニはありそうもないので、食料を手に入れる事は出来そうもない。

 山道の脇には白い花を一杯に付けた果樹園が広がっている。何の花なのか?梨も白い花だがどうも違うようだ。
標高が上がると高知の町並みも見えてきた。高知城はと探すが分からない。
今日当たりは高知城の桜が見頃だろうが、この名も知らない白い花も中々のものだ。
と、花に見とれていた分けではないが何か道がおかしい。
辺りに色々な種類の植物が植わり、名札も付いている。更に進むと植物の説明看板もあった。これではまるで植物園だ。

 道は何本にも分かれているし遍路札は見当たらない。
次の札所は丘の頂にあるはずと仕方なく上に行く道を辿る。そして出た所はなんと植物園の出入り口だった。
いつの間にか遍路道を外れ、植物園の中に紛れこんでしまったらしい。
まだ開園前だったので無事外に出ることが出来た。

 竹林寺では僧たちが竹箒で掃除をしている。
綺麗になった石垣の脇には、芽吹いたばかりのもみじが薄赤く色づいていて紅葉のように見える。
竹林寺には途中で追い抜いたはずの遍路さん達がお参りをしていた。やはり道を間違え遠回りをしたのだ。

お遍路さん達は昨夜同じホテルに泊まった人たちだったので、そのまま連立って歩いているとの事。
ご夫婦が一組と一人で来た女性1人と男性2人だった。
群れて歩くのは余り好かない私は当惑したが、ここで 「お先に失礼」 と言って一人先に行く雰囲気でもない。
まあ自然に別れられる所までは一緒に行こうと仲間に加わる。
歩きながら話をすると、ご夫婦は秋田県から来た方で、目標は88番だがともかく行ける所まで行きたい。
男性の一人は2年前通し打ちをして今回は2度目との事。なるべく前回と違う宿に泊まり、朝飯を食べず出て
午前中に距離を稼ぐと言う。もう一人の男性は四万十川までの区切り打ちで続きは来年になると言う。
女性は若しや徳島で接待を受けたとき話に出てきた女性かと思ったが、今回は土佐を歩く所打ちだと言う。
話しながら32番禅師峰寺に向かうのだが、一向にコンビニもスーパーもましてや食堂も出てこない。

 皆お腹が空いてきてホテルへの苦情が色々出たが、最終的に
 「フロントは車道のコンビニを、歩きの遍路道と違う事を知らずに教えてくれた」 となった。
この事をホテルに知らせられれば良いのだが・・・・・・・・
結局食料は32番を打ち、浦戸湾の渡しの手前にあるスーパーでようやく手に入れることが出来ました。

 私は四国では板東駅から板東駅までを人工の乗り物には乗らないと決めてここまで自分の足一本で歩いてきた。
それがここでは船に乗らなければならないとは・・・・・・。
近くに浦戸大橋があるが有料道路で歩行禁止だ。それ以外の道は竹林寺の方に戻り浦戸湾を一周する道はあるが
一日近くかかってしまいそうだ。どうしよう困った! 昔のお遍路さんはどうしたのだろう。

 確か本に四万十川には渡しがあると書いてあったが、ここだってきっと昔は渡しがあってそれに乗ったはずだ。
ならここで渡し舟に乗る事は遍路の邪道ではないと自分を納得させる。
こんな拘りは恥ずかしくて他のお遍路さんには言えなかった。

 渡し船はしっかりとエンジンの船で、船員もマドロス帽を被っている。
船には人だけでなく自転車も乗せることが出来るようだ。
船首に立っていると風が気持ちよく頬に当たる。その風は歩いて火照っている遍路の体には、気持ち良い風だが、
一般のお客さんには冷たく感じるようで、風を避けるようにしている。
自分の足を動かさなくても進んでいく極楽は、ほんの5分程度で終わってしまった。
これで渡し賃は無料とは! 感謝!!

 浦戸湾を渡ると足の速さの違いか出て、ご夫婦と女性のお遍路さんは男性陣と自然と離れしまった。
そのうち男性陣も私だけ違う宿だったので別々になった。

 35番清滝寺は山の中のお寺で、宿に荷物を置いて往復できる。
空荷になった背中は不自然なほど軽く体は自然と前に行くように感じた。
そのせいではないだろうが、また2度も道を間違えてしまった。1度目は広く新しい道に出たのだが
遍路札が見当たらない。仕方なく信号待ちの車の人に聞くと
 「この信号を右に行って、川があったらその川伝いに行けばよい」 と教えてくれた。
その教えの通り川伝いに歩いていた積りだったが、後ろから来た車の人が
 「お遍路さんどこへ行くのかね。清滝さんは谷(や)が違うよ」 と声を掛けてくれた。
 「ほら、あの山の中腹にお寺の屋根が見えるでしょう。あれが清滝さんだからもう一つ向こうの谷を行かなければ」
お寺の方を見ると確かにこの道を進んではお寺と違う方に行ってしまいそうだ。
まだ道ははっきりしないが目標が見えるのでそれを目指して歩き出した。

 宿の夕食時、相客のお遍路さんがビールをうまそうに飲んでいる。
アルコール依存症気味の私が遍路を始めてから今日までズーと我慢してきたのだが・・・・・・ウーン我慢できない
 「すみません。ビール1本お願いします」 13日目の約束違反になった。

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