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Channel: はぐれ遍路のひとりごと
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四国遍路36日目

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                          高野山

                     高野山(36日目) (2003/4/17)
    
  高野山までのコースが決まらない。
宿で聞くと鳴門海峡を渡って大坂難波から特急電車で高野山に行くと言う。
鳴門海峡は来る時に渡ったので帰りは和歌山までフェリーで行きたいと言うと、
 「車ならいいがJRでは和歌山港からの接続が分からない」 と言う。

それでも和歌山港も高野山も同じ和歌山県。
交通機関の接続だってきっと考えてあるだろうとフェリーを利用するコースにする。

 早朝で人影が少ない坂東駅から徳島行きの電車に乗る。
37日振りの人口の乗物だが、何の違和感も無いのが寂しくらいなんともない。
歩きと比較にならないそのスピードも別にどうと言うことも無い。

徳島駅からフェリー乗場まではバスと考えていたがフェリーの時間が気になりタクシーを奮発する。
これが最初の予定外。

和歌山港から和歌山駅までは私鉄で繋がっていた。
だがこれが乗車時間は短いが待ち時間が長くイライラしてくる。
更に着いた駅はJR和歌山駅と思っていたのに和歌山市駅だとか。
和歌山駅までは更に乗り継がなければならない。
そしてここも待ち時間ばかり長く、すでに時間は正午を過ぎていた。

やっと着いた和歌山駅。
後は順調に行くだろうと思いきや、高野山に行く電車は1時間に1本。
もう踏んだり蹴ったりでした。宿の人が港からの接続が分からないと言う訳をやっと納得した。

 ケーブルカーを降りてバスで奥の院に向かった。
車窓から今夜泊まる宿坊を物色していたが何か雰囲気が違う。
四国では宿坊に入るのに気後れするような事は無かったのに、ここの宿坊は門を入るにも気構えが必要だ。
何かこけ脅し的に立派で遍路が泊まるには分不相応に感じる。
四国のような宿坊をと探すのだが、そんな雰囲気の寺は見当たらない。

 以前僧侶達が出演していたTVの公開番組で 「何故僧侶の車はベンツが多いのか」 と言う質問に、
ある僧が 「僧侶の身の安全のために、作りが頑丈なベンツに乗る」 と答えていた。
それを聞いてチョット待ってよと言いたくなった。
聖職者たるもの自分の安全より民衆の安全を祈るべきだろうに、ぬけぬけと僧の身の安全のために高価な車に
乗ると言うなんて。
元々世襲制で葬式主体の僧に期待していた訳ではないが、これを聞いて本当にガッカリしてしまった。

 今こうして立派な宿坊を見ていると、ここの僧侶たちもきっとベンツに乗っているだろうと思うと泊まる意欲が
消えてしまった。

  奥の院に続くお墓は歴史上の有名人のオンパレードだった。
何故この人たちのお墓が此処に------ 分からないが見ているだけで歴史の勉強になりそうだ。

それにしても真言宗は中々の知恵者が多い。
深山幽谷の高野山で護摩を焚く密教で神秘性を高め、一方では豪華な宿坊を建て高貴な方や俗福な者を呼び入れる。
そしてその人達が飽きないように有名人のお墓を作る。
お墓も昔のテーマパークの一種だと思えば、ここに信長や家康の墓があるのも納得いく。

 今日は朝から遍路の白衣は脱いでいるが菅笠はしまうわけにはいかずザックに縛り付けてある。
笠には 「同行二人」 と墨書されているし、金剛杖も突いている。
一見して遍路帰りと分かる格好だ。
自意識過剰な私には周りからの視線に耐えられず納経を済ますと早々に退散した。

適当な宿はと、まだ未練たらしくあちこちを見るが、この格好で気楽に入れそうな宿は無い。
その時新幹線でならまだ家に帰れると家の事を思い出した。

 四国では一度も帰りたいなど思ったことは無く、高野山も最初から泊まる積もりでいた。
なのに一度家の事を思い出すと里心に火が付いてしまった。
慌ててバスに乗り込み後は我家を目指して一目散。

乗った新幹線では36日間の遍路は何だったのだと、余りに変わらない自分にガッカリしてしまいました。
これが最後の予定外。

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